宗教について 〜 人の生と死を考える 注33

公開: 2023年3月13日

更新: 2024年3月5日

注33. 砂漠に囲まれた厳しい地域で生まれた一神教

全ての一神教の発祥が砂漠に囲まれた、厳しい生活環境にあることは、昔から議論されています。砂漠には、人間が生きるために必要な水が乏しく、昼は直射日光で高温になり、夜は空気が乾燥しているため放射冷却で寒くなります。水が乏しいため、食物になる植物の生育も難しく、生息する動物の種類も限られています。そのような自然環境なので、その地域で生きている人々の人口も少なく、限定されています。そのような自然環境の中で゜、最初、ユダヤ教が生まれました。それは、4大文明の一つ、メソポタミア文明に起源があると信じられています。

ユダヤ教は、古代エジプトで奴隷のような生活を強いられていたユダヤ人たちに対して、そのエジプトの地を離れ、砂漠の中の地、ベツレヘムに安住の地を見出すことを、神がモーゼに伝えたことから始まります。これは、旧約聖書に゜「出エジプト記」として記されています。これが歴史的な事実かどうかは確認できていませんが、ユダヤ人のルーツがこの時、造られたと言うことはできるでしょう。この出エジプト記に書かれた出来事の過程で、神は、ユダヤの人々に十戒の教えを与えました。この十戒がユダヤ教とそれに続くキリスト教、そしてイスラム教の教えの起源になりました。

この十戒に述べられた戒律は、古代エジプトの多神教で信じられていた宗教の原則とは大きく異なり、唯一の「神」以外を、信仰する神としては認めず、信じてはならないとする原則を、厳密に守ることを強制しています。その背景には、民族を率いるリーダーが、わずかな誤りを犯しただけで、民族を絶滅させる結果になる可能性がある自然環境で、民族を正しい方向へ導き、存続させなければならない使命を全うするために必要な、原則に忠実に従った決めごとであると考えます。この砂漠の民の規律が、セム系の宗教と言われる、ユダヤ教、キリスト教、そしてイスラム教の一神教に共通する規律です。

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